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しいたかのブログ

文章の練習、その他いろいろ

ラカンのシェーマL

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ラカンのシェーマLが表しているのは、S(主体)はA(大文字の他者)からメッセージを送られるのだが、「他者と他者のイメージからできあがった自我のあいだのイマジネールな関係が障害となって、メッセージはSに届かない」*1、言い換えれば、主体は想像的な関係を通してしかメッセージを受け取れないということである。

シェーマLは、「日本一わかりやすいラカン入門」を目指して書かれた斎藤環の『生き延びるためのラカン』でもわずか数行しか触れられていないので、ここにごく簡単にまとめてみようと思う。

 

上の図のうち、まずはA―Sの軸(象徴的な軸)について。Aが表している「大文字の他者」は、ここではわかりやすく「言語」と置き換える*2。つまり、象徴的な軸は、「主体が言語(言葉)を送られたこと」を意味しているものであると考えることができる。

次に、a'―aの軸(想像的な軸)について。a'が表しているのは「小文字の他者=対象a」だが、こちらもわかりやすくするために「他者(自分以外の他のもの、という単純な意味)」に置き換える。「想像的な関係」とは、「二つの際立った特性によって特徴づけられる。すなわち愛(同一化)と憎しみ(敵対性)である」*3。つまり、想像的な軸が示しているのは、他者とは、愛や憎しみといったような想像的な意味付けを介してa(自我)に受容されること、と考えることができる。

象徴的な軸が途中から点線になっているのは、「象徴界の作用はいつでも想像界を通じて間接的にしかあらわれない」*4から、つまり、(他者からの)言葉は、自分と他者との「想像的な関係」に基づいて理解されるしかない、ということを表している。

 

以上、大雑把ではあるが僕なりにシェーマLをわかりやすく(?)まとめてみた。ちなみに、シェーマLについてのより詳細な解説は松本卓也さんのブログ(http://psychanalyse.hatenablog.com/entry/20050110/p1)が非常に参考になるので、より深く理解したい方はぜひそちらを。

*1:向井雅明「ジャック・ラカンの理論的変遷(五)――最後期の理論へ――」(『思想』、2014.5)

*2:例えば、新宮一成ラカン精神分析』(講談社現代新書、1995.11)では、「ラカンの言う大文字の他者の本質はまず言語である」(p106)と紹介されている。

*3:ブルース・フィンク『後期ラカン入門――ラカン的主体について』(人文書院、2013.8)、p125

*4:斎藤環『生き延びるためのラカン』(ちくま文庫、2011.2)、p114